第十八話「ダークタワー」

とある林の中を歩いている一同…
チョコ「…あれ?」
ふと、チョコモンが立ち止まった。
グミ「…チョコ~?どうかしたの~?」
チョコ「ん…なんかさ、アレ…ダークタワーに見えない?」
アメ&グミ&サンダー「え゛?!」
アメモンとグミモンは、チョコモンが見ているほうを見た。
グミ「え~…よく分かんないよ~?」
アメ「…チョコ、オレらより目ぇ良いからなぁ…。」
アメモンは、苦笑してそう言った。
サンダー「あ~、あるかもな。」
サンダーは、ポツリとそう言った。
チョコ「だよね。……って、あれ?…サンダー、見えてはない…よね?;」
チョコモンは、一瞬頷いたものの、サンダーの目が見えないと言う事を思い出し、困ったようにそう言った。
サンダー「まぁ、見えはしないけどね。…でも、分かるよ。ダークタワーだもん。…なんか、額の辺りが重いんだ。」
オルト「…重い?」
サンダー「うん。…ダークタワーってのはね、通常進化を妨げたり、デジモンとかを操るアイテムを制御する塔の事なんだ。」
サンダーは、軽くダークタワーの説明をした。
オルト「…進化を妨げる?……ああ、それでサンダー…。」
サンダー「そ。…おれの進化の光の収納場所は額だからね。」
サンダーは、オルトの言葉に答えるようにそう言い、「だから重いんだよ…。」と付け足した。
オルト「…そりゃ厄介だな…。」
サンダー「いや、それ以上に厄介なのは…ワルモンじゃない感じがするのに敵意持ってるような奴らが来ることなんだよね。……こういう風に。」
サンダーがそう言った次の瞬間、背後から赤い恐竜が、五体も現れた。
アメ「あれは…ティラノモン!!」
ゲンキ「…知ってるのか?」
チョコ「ティラノモンは、とっても大人しい、データ種の成熟期デジモンだよ。」
チョコモンは、笑顔でそう説明した。…が、その次の瞬間
ティラノモン「『ファイアーブレス』!!」
ティラノモンはそう言って、大きな炎を吐いた。
一同「うわぁ!!」
一同は、何とかその炎をよけた。
ニナ「何で?!…ワルモンの紋章は見当たらないのに…。」
…そう、ニナの言う通り、ティラノモンたちにワルモンの紋章は見当たらなかった。
ハム「大人しいデジモンなんじゃないんですか?!!」
チョコ「…そのハズなんだけど~…;;」
ハムの言葉に、チョコモンは困りながら答えた。
サンダー「…イービルリング。」
サンダーがポツリと呟いた言葉に、一同は振り向いた。
アメ「…イービルリングが…どうしたってんだよ…。」
サンダー「…言ったでしょ?……ワルモンじゃないのに、敵意を持ってるって。……だから、着けてるハズだよ。…イービルリング。」
サンダーは、冷静にそう言った。
チョコ「え……あ、本当だ!腕の所に…イービルリング…。」
ホリィ「…いーびるりんぐ?」
チョコ「…あのティラノモンたち、腕の所に、黒い輪っかをしてるでしょ?…あれが、イービルリングって言って、デジモンとかを操るアイテムなんだ。」
チョコモンは、イービルリングの説明を手短にした。
アメ「…ようは、あの輪っかを壊せばいいんだ。…そうすれば、あいつらは正気に…元の、大人しいデジモンに戻るんだ!」
アメモンは、チョコモンの説明に付け足すように言った。
チョコ「…グミ、アーマー進化して!…それで、サンダーとグミとでダークタワーを壊しに行って!」
サンダー「え…グミモンをアーマー進化するのは良いとして、何でおれまで……ダークタワーを倒すのなんか、ラピッドモン一人で十分だろ?!」
サンダーは、チョコモンの出した指示に抗議した。
チョコ「…確かに、ダークタワーを倒すのは、グミだけでも出来るかもしれない。…でも、グミには、こっからじゃダークタワーが何処にあるのか分からないでしょ?…だから、サンダーにその指示をして欲しいの。」
サンダー「でも…っ」
チョコ「…それに、サンダーにはイービルリングの場所は分からないでしょ?…だから。……お願い。」
チョコモンは、サンダーの抗議の声を遮るように言った。
グミ「…やろうよ~、サンダー。……チョコモンの言う通りだもん。…僕らが行ったほうが、きっと早く済むよ~。」
グミモンは、サンダーを説得するように言った。
サンダー「……分かった。…行くよ、グミモン。デジメンタルアップ!!
サンダーは、そう言いながら、羽の生えた球体を取り出した。…すると、その球体は、グミモンを包み込むように光り出した。
グミモン「テリアモン、アーマー進化~~~~~~~!!」
 「運命の輝き、ラピッドモン!!」
そう言って、光の中から黄金の一本角の兎(ラピッドモン)が現れた。
煌く運命 ラピッドモン
ラピッド(グミ)「…さ、行こ~、サンダー。」
サンダーは、ラピッド(グミ)モンの言葉に頷くと、ラピッドモンの背中のブースターの上に跳び乗った。…ラピッドモンは、それを確認すると、ダークタワーの方へ飛んで行った。
アメ「…よ~し、オレ達もやってやろうぜ!」

…そして、ダークタワーのある山の上に辿り着いたサンダーとラピッドモン。
サンダー「・・・・・・・・・っ痛…;」
サンダーは、ラピッドモンのブースターから降りて、そう呟いた。
ラピッド「…サンダー、大丈夫~?」
サンダー「うん、平気。……さ、とっととダークタワーをぶち倒そうぜ!」
サンダーは、ニィっと笑って、そう言った。
ラピッド「うんっ。…でも、どうやって探すの~?」
サンダー「ん~?…んなの簡単さ。…おれのこの額の痛みが強まる方へ進めば、必ず辿り着ける!」
サンダーは、自信満々っと言う顔でそう言った。
ラピッド「…それって…サンダー、辛くなっちゃうんじゃ…;」
ラピッド(グミ)モンは、サンダーの事を心配してそう言った。
サンダー「ヘーキヘーキ。…大体、このぐらいの痛みで前に進めないようじゃ、皆の足手まとい決定だしね。」
サンダーは、前に進みながらそう言った。
ラピッド「……そんな事、ないと思うケドな…。」
ラピッド(グミ)モンは、とても小さな声で、そう呟いた。
サンダー「グミモ~ン?置いてくぞ~?!」
ラピッド「え、ちょっと待ってよサンダー!!」
ラピッド(グミ)モンは、そう言うと、サンダーの方に早足で駆けて行った。

…そして、ようやくダークタワーに辿り着いた2人(匹?)。…そこには、グレイとブイモンが居て、2人(匹?)は、ずっと山の下を見ている。
サンダー「…グレイ?…何してんの?」
グレイ「…いや、見張ってろって言われてここにいるんだけどさぁ…。」
グレイは、そう言いながら、ブイモンの方を見た。
ブイ「…何なんだよ…関係のない奴らまで操って、巻き込んで…それでしかも実験だなんて…アイツ、一体何考えてんだよ!!
ブイモンは、山の下を見たまま、怒鳴った。
ラピッド「……“関係のない奴ら”って~、もしかしてティラノモンたちのコト~?」
ラピッド(グミ)モンがそう聞くと、ブイモンは「そうだ。」と頷いた。…そう、グレイとブイモンは、さっきからティラノモン達の事を見ていたのだった。
サンダー「アイツってもしかして……。」
ブイ「そう、黒マントのことだ。」
ブイモンは、やっぱり振り向きもせずに言った。
グレイ「…ブイモン、オマエ今、様付けすんの忘れてたぞ。」
ブイ「いーんだよ。第一、今はハーピーもヴァンデモンもいねぇし。…グレイだって、そう言うときには様付けしねぇだろ。」
ブイモンは、グレイのツッコミも軽くかわして、冷たくそう言った。
グレイ「…そ・そがいですか……;」
…そんなブイモンの珍しい姿に、グレイは怯えたようにそう言った。
ラピッド「…で、実験って~、ど~ゆ~ことさ~?」
ブイ「アイツがさ!今日の、ティラノモンたちを操るの……イービルリングとダークタワーは、次の段階への実験だとかって言いやがったんだ!!
ブイモンは、そう怒鳴った。
ラピッド&サンダー「…それ、どう言う事?」
グレイ「…何か、今回のことは、イービルスパイラルを作るための実験なんだと。」
よく分かっていないラピッド(グミ)モンとサンダーに、グレイは補足の説明をした。
ラピッド「イービルスパイラル?!!」
サンダー「何の為に?!!」
グレイ「さあな。…それは、よく分かんねェケド……それより、お前ら。…ダークタワー、倒さなくていいのか?」
グレイは、ふと気が付いたようにそう言った。
ラピッド「…そ~だよ!やんなきゃ!!」
ラピッド(グミ)モンがそう言うと、サンダーは大きく頷いた。…そして、サンダーとラピッド(グミ)モンは、ダークタワーの方に向き直った。
サンダー「『ジオンガ』!!」
サンダーはそう言って、大きな雷を放った。
ラピッド「『ジャイアントミサイル』!!」
ラピッド(グミ)モンはそう言って、両手の銃口から、大きなミサイルを放った。…すると、ダークタワーは崩れ落ち、ラピッド(グミ)モンは、元の(成長期の)姿に戻った。
グミ「あ~あ、戻っちゃった~。」
ブイ「よしっ。…ティラノモンたちも正気に戻ったな。」
ブイモンは、山の下のティラノモンたちを確認して、そう言った。
サンダー「…じゃあ、話しても良い?……黒マントは、何の為にイービルスパイラルを作るの?」
グレイ「…オレ達にも、それはよく分かんねェんだけどさ。…でも多分、アイ…アノ人は、世界を支配しようとしてんだと思う。…ムーとかと同じように。…サンダーを必要としてんのも、同じ理由だろうと思う。」
グレイは、サンダーの質問に、色々と考えながら答えた。
サンダー「……もしかして、操ったデジモンを、おれの力を使って、進化させようとしてんのかな…」
ブイ「んなこと、絶対にさせるもんか!!!!
ブイモンは、サンダーの言葉に、間髪を入れずにそう言った。
グミ「…うん、僕も。…仲間が…デジモン達が、悪いことに利用されようとしてるなんて、許せない。」
ブイ「……その時は、お前らの味方になるよ。」
ブイモンは、そう言って、グミモンの前に手を出した。
グミ「僕も、そ~言~時なら、一緒に戦ってもいいや。」
グミモンはそう言うと、出された手を握った。
グレイ「…ほら、そろそろ戻れよ、お前ら。……仲間が、心配してんじゃねェのか?」
サンダー「…あ、うん、そうだね。…じゃあ、行こっか、グミモン。」
グミ「…うん、じゃ~…またね~、ブイモン。」
グミモンはそう言うと、ブイモンの手を離した。
ブイ「ああ、またな。」
ブイモンの言葉を聞くと、グミモンは山を下って行った。
グレイ「じゃあな、サンダー。」
サンダー「うん、またね、グレイ。」
そう挨拶を交わすと、サンダーは、グミモンと一緒に、山を下って行った。
グレイ「……じゃ、オレらもそろそろ帰ろうぜ?」
サンダーとグミモンが山を下っていくのを見届けると、グレイは、ブイモンにそう言った。
ブイ「・・・・・・・・・・・ヤダ。帰る気分じゃねぇ。」
ブイモンは、ふてくされたようにそう答えた。
グレイ「あのなぁ;…じゃあ、どっかその辺散歩して、気ィ紛らしてから帰るか?」
グレイは、小さな子供をなだめるように、優しく言った。すると、ブイモンは小さく頷いた。

…そして、山の麓…
サンダー&グミ「みんな~、ただいま~v」
サンダーとグミモンは、そう言いながら、一同の元へ戻って行った。
チョコ「お帰り~。…遅かったね。」
サンダー「うん。…グレイと、ちょっと話してたんだ。」
サンダーは、チョコモンの問いに、笑顔で答えた。
アメ「グレイと?…何の話してたんだよ。」
グミ「あのね~、黒マントが~、イービルリングを作ろ~として~、その実験のために~、今回、イービルリングとダークタワーを使ったらしい~って話~。」
アメモンの問いに、グミモンはそう答えた。
チョコ「……てことは、これからもあーゆー事が起こるかもって事?!」
スエゾー「…せやけど、その話信用できるんか?…それ言うとったのは、グレイなんやろ?…グレイは、ワルモンの四天王の一人やないか。」
サンダー「大丈夫、信用できるさ!」
サンダーは、自信たっぷりにそう言った。
アメ「…だから、オマエのその自信は一体何処から湧いて来るんだよ;」
アメモンは、溜息をついて言った。
サンダー「だって、グレイはおれの双子のおにいちゃんだもん!」
サンダーは胸を張ってそう言った。
アメ「だーかーらー…;」
オルト「…どうでもいいだろ、そんな事。…それに、他に情報もないんだし、用心するに越した事はないだろ。」
アメ「……まぁ、確かにそうなんだけどな…。」


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